管理業務主任者試験で、いちばん確実に得点できるのが適正化法です。 条文に書かれた誰が・いつ・何をするかがそのまま問われるので、覚えた分だけ点になります。 ここでは設置義務と重要事項説明を整理します。

2026年4月施行の改正適正化法で、重要事項説明の対象に「管理者受託契約」が加わりました。 管理業者が管理組合の管理者を兼ねる方式(管理業者管理者方式)に対応したものです。

管理業務主任者の設置(56条)

マンション管理業者は、その事務所ごとに、成年者である専任の管理業務主任者を置かなければなりません。

項目 内容 根拠
必要な人数 管理事務の委託を受けた管理組合の数を30で除した数(1未満の端数は切り上げ)以上 規則61条
設置不要となる事務所 人の居住の用に供する独立部分が6未満のマンションの管理事務しか扱わない事務所 56条1項ただし書、規則62条
業者・役員が主任者のとき 自ら主として業務に従事する事務所については、専任の主任者とみなす 56条2項
抵触したとき 2週間以内に適合させる措置をとる。抵触する事務所の新規開設は禁止 56条3項

60管理組合なら2人、61管理組合なら3人です。「30で割って切り上げ」を計算できるようにしておきましょう。

独立部分が6未満のマンションだけを扱う事務所では、主任者に代えて、 その事務所を代表する者またはこれに準ずる地位にある者が主任者としての事務を行えます(78条)。

覚え方のコツ

  • 30に1人・6未満は不要・2週間で是正」の3点セット
  • 「30管理組合ごと」であって「30棟ごと」でも「30戸ごと」でもない

重要事項説明(72条)

手順は新規に締結するとき同一条件で更新するときでまったく違います。ここが最大の出題ポイントです。

場面 説明会 書面の交付先 説明
新規に締結(1項) 開催する 区分所有者等及び管理者等の全員に、説明会の日の1週間前まで 主任者が説明会で説明
同一条件で更新・管理者等あり(2項・3項) 開催しない 区分所有者等全員に交付。加えて管理者等にも交付 主任者が管理者等に対して説明
同一条件で更新・管理者等なし(2項) 開催しない 区分所有者等全員に交付 説明は不要

説明会は、管理組合ごとに、参集の便を考慮して開催します。開催日の1週間前までに、 日時と場所を区分所有者等と管理者等の見やすい場所に掲示しなければなりません(規則83条)。

書面を作成するときは、管理業務主任者に記名させる必要があります(72条5項)。 そして、説明をするときは、請求がなくても主任者証を提示します(72条4項)。 書面を交付するだけの場面(2項)には提示義務がありません。

説明するなら提示、書面を作るなら記名」と対で覚えると整理できます。

認定管理者等の特例

管理計画認定を受けた管理組合の管理者等(認定管理者等)が「説明は不要」との意思を表明したときは、 書面の交付だけで説明に代えられます(72条3項ただし書)。更新の場面限定の特例です。

適用除外

新築マンションの分譲後、最初の引渡しの日から1年の間に契約期間が満了する契約は、 そもそも「管理受託契約」から除かれ、重要事項説明の対象外です(72条1項、規則82条)。 区分所有者が入れ替わる時期に説明しても意味が乏しいためです。

2026年4月改正で入った「管理者受託契約」

改正適正化法は、管理業者が管理組合から管理者事務(区分所有者等を代理して建物を保存し、 集会の決議を実行し、規約で定めた行為をする事務)の委託を受ける契約を管理者受託契約と定義し、 管理受託契約と同じく重要事項説明の対象にしました(72条1項)。

管理者受託契約の重要事項には、管理受託契約にはない次の項目が加わっています(規則84条1項二号)。

  • 管理者事務の内容(管理者の権限の内容を含む)及び実施方法
  • 管理業者と密接な関係を有する者に関する事項
  • 管理組合以外の者との間で授受される金銭等であって、役務の提供を伴わないものに関する事項

利益相反への警戒が条文に表れています。さらに、管理者等である管理業者が自己または密接な関係を有する者と 取引をするときは、あらかじめ説明会を開催して区分所有者等に重要な事実を説明しなければなりません(77条の2)。 災害等でやむを得ない場合だけが例外です。

契約成立時の書面(73条)

契約を締結したら、遅滞なく書面を交付します。

項目 内容
交付先 管理組合の管理者等。ただし業者自身が管理者等であるとき、または管理者等が置かれていないときは区分所有者等全員
時期 契約締結後、遅滞なく
記名 管理業務主任者の記名が必要
説明 不要(交付のみ)

記載事項は、対象となるマンションの部分、内容及び実施方法(分別管理の方法を含む)、費用と支払時期・方法、 再委託の定め、契約期間、更新の定め、解除の定めなどです。 重要事項説明とは違い、主任者が説明する必要はない点を押さえてください。

管理事務の報告(77条)

場面 やり方
管理者等が置かれている 定期に、管理者等に対し主任者をして報告させる
管理者等が置かれていない/業者自身が管理者等である 定期に、説明会を開催して区分所有者等に対し主任者をして報告させる

報告は管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、管理事務報告書を作成して交付し、説明します(規則88条)。 報告書には、報告の対象期間、管理組合の会計の収入及び支出の状況などを記載します。 この説明でも主任者証の提示が必要です(77条3項)。

「業者自身が管理者のときは説明会」という扱いが2026年4月改正で入った部分です。 管理者を兼ねる業者が自分だけに報告して済ませられないようにするためで、 分別管理の書面(規則87条5項)の備置き・閲覧にも同じ発想が入っています。

主任者証まわり

  • 有効期間は5年。申請により更新する(60条3項、61条)
  • 交付申請には、申請日前6か月以内の講習が必要。ただし試験合格から1年以内の申請なら不要(60条2項)
  • 事務を行うに際し、関係者から請求があったときは提示する(63条)
  • 重要事項説明(72条4項)と管理事務の報告(77条3項)では、請求がなくても提示する

「請求があったら提示」が原則で、「説明の場面は無条件で提示」が例外。この2段構えが繰り返し問われます。