マンション標準管理規約は、国土交通省が示すモデル規約です。法律ではありませんが、 実際の管理規約の多くがこれをベースにしているため、管理業務主任者試験では条文なみに細かく問われます。
2026年4月施行の改正区分所有法に合わせて、標準管理規約(単棟型)は令和7年に改正されました。 総会の決議要件がまるごと書き換わっているので、古い版で覚えていると失点します。
総会の決議要件(47条)は全面改正
| 決議 | 令和7年改正後 | 改正前 |
|---|---|---|
| 定足数(1項) | 議決権総数の過半数を有する組合員の出席 | 議決権総数の半数以上 |
| 普通決議(2項) | 出席組合員の議決権の過半数 | 同じ |
| 特別決議(3項) | 組合員総数の過半数かつ議決権総数の過半数の出席を要し、出席組合員及びその議決権の各4分の3以上 | 組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上 |
| 3分の2決議(4項・新設) | 同じ定足数で、出席組合員及びその議決権の各3分の2以上 | (なし) |
| マンション再生等(5項・6項) | 組合員総数及び議決権総数の各5分の4以上(62条2項の事由に当たる場合は4分の3以上) | 建替え決議は各5分の4以上のみ |
普通決議は「議決権だけ」で決する点に注意してください。頭数(組合員数)は数えません。 一方、特別決議は頭数と議決権の両方で4分の3以上が必要です。
4項の3分の2決議が新設された点が今年の目玉です。対象は次の3つです。
- 敷地及び共用部分等の変更のうち、瑕疵の除去に必要となるもの
- 敷地及び共用部分等の変更のうち、バリアフリー化に必要となるもの
- 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧
3番目は改正前は4分の3決議の欄にありました。引っ越してきた項目なので、狙われます。
覚え方のコツ
- 定足数は「半数以上 → 過半数」に引き上げられた。50%ちょうどでは足りない
- 普通決議は議決権だけ、特別決議は頭数と議決権の両方
- 3分の2に落ちたのは「瑕疵・バリアフリー・大規模滅失の復旧」の3つ
招集手続(43条)
| 場面 | 期間 |
|---|---|
| 通常の総会 | 会日の2週間前まで |
| マンション再生等に係る決議 | 会日の2か月前まで |
| 再生等の説明会 | 会日の1か月前まで |
| 緊急を要する場合 | 理事会の承認を得て、1週間を下回らない範囲で短縮可(再生等の決議を除く) |
区分所有法35条1項が「1週間前」なのに対し、標準管理規約は2週間前に伸長しています。 どちらを聞かれているかを取り違えないようにしてください。
通知のあて先も改正されました。届出がない組合員には専有部分の所在地あてで足りますが、 国内管理人の届出があればその国内管理人あて、所有者不明専有部分管理人の届出があればその管理人あてに発します。
組合員による総会招集請求は、組合員総数と議決権総数の各5分の1以上の同意が必要です(44条1項)。 理事長は2週間以内に、請求日から4週間以内(再生等の決議なら2か月と2週間以内)の日を会日とする通知を発します。
議決権の代理行使(46条)
代理人になれるのは次の4つに限られます。
- 組合員の配偶者(事実婚を含む)または一親等の親族
- その組合員の住戸に同居する親族
- 他の組合員
- 国内管理人(令和7年改正で追加)
「二親等の親族」「同居していない親族」「管理会社の社員」は含まれません。 また、所有者不明専有部分管理人は組合員に代わって議決権を行使でき、その適用では組合員とみなされます(47条8項)。
役員(35条〜41条)
| 役職 | 選任方法 |
|---|---|
| 理事・監事 | 総会の決議で、組合員のうちから選任・解任 |
| 理事長・副理事長・会計担当理事 | 理事会の決議で、理事のうちから選任・解任 |
理事長は区分所有法に定める管理者とされます(38条2項)。通常総会で前会計年度の業務執行を報告し、 ○か月に1回以上、職務の執行状況を理事会に報告しなければなりません。 管理組合と理事長の利益が相反する事項については、理事長は代表権を持たず、監事または他の理事が管理組合を代表します(38条6項)。
役員の欠格条項(36条の2)は3つです。破産者で復権を得ない者、 拘禁刑以上の刑に処せられ、執行を終わった日等から5年を経過しない者、暴力団員等。 「拘禁刑」は刑法改正で懲役・禁錮が一本化されたものです。
監事の権限は「報告」と「招集」
- 業務執行・財産の状況を監査し、結果を総会に報告する
- 不正があると認めるときは臨時総会を招集できる
- 理事会に出席し、必要があれば意見を述べなければならない(出席は義務)
- 理事の不正等を認めたときは、遅滞なく理事会に報告し、必要なら理事会の招集を請求できる
- 請求日から5日以内に、請求日から2週間以内の日を理事会の日とする通知が発せられないときは、監事が自ら招集できる
「総会は招集できる、理事会は原則として請求どまり」という非対称が出題ポイントです。
理事会(51条〜54条)
理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開けず、議事は出席理事の過半数で決します(53条1項)。 WEB会議システム等による開催も明記されています。 決議について特別の利害関係を有する理事は議決に加われません(同条3項)。
書面・電磁的方法による決議ができるのは、54条1項第五号(17条・21条・22条の承認または不承認)に限られ、 その場合も理事の過半数の承諾が必要です。総会のように「全員の承諾」は求められていません。
理事会は、災害等で総会の開催が困難な場合に応急的な修繕工事の実施を決議でき、 その決議をしたときは、資金の借入れと修繕積立金の取崩しまで決議できます(54条1項十五号・2項)。 総会決議事項の例外なので、覚えておくと得点になります。
総会の議決事項で改正されたところ
48条の議決事項には、建替え・建物の更新・建物敷地売却・建物取壊し敷地売却・取壊し(=マンション再生等)が並びました。 修繕積立金の使途(28条1項)にも、これらの合意形成に必要となる事項の調査が入っています。 また、総会資料の保管・閲覧(49条の2)と組合員名簿等の作成・保管(31条の2)が新設され、 理事長は毎年1回以上、組合員名簿等の内容を確認しなければならないとされました。
改正点は「新設された条文」と「数字が動いた条文」に分けて覚えるのが近道です。